ナチュラルワイン2/024
- 真一 松田
- 6月13日
- 読了時間: 3分
ナチュラルワインと葡萄について。

美味しいワイン作りに重要な事とは? と尋ねると
みなさん「健全な葡萄の品質が大切」という言葉が返ってきます。
では、健全な葡萄とは?
「葡萄の周りに微生物がたくさんいて、葡萄の実にもバランスの良い成分が行き渡っている葡萄」なのだそうです。
そのような葡萄を作る為には?
土の良い畑に生えている葡萄の木。
良い土というのは、除草剤や化学費用が使われていない微生物が生きている土壌のことです。
つまり?
葡萄に良い成分と微生物がつくようにする為には、葡萄畑の土を健全にしていく必要があるようです。
ナチュラルワインの作り手は余計な添加(補糖・酸・酵母など)を使いません。
ワイン作りの基本は「足さない・引かない・時間をかける」です。
人の手が足されますが、自然の流れに少し介入する程度です。
この「人」自体も自然界の一部という考えです。
ワインの原材料は”葡萄のみ”、なのでこの葡萄をワインに仕上げてくれる自然界のあらゆる力が必要になってくるのです。
この目には見えない「あらゆる力」を仲間にして観測しているのです。
今から半世紀前、生産性や経済流通を意識した「目的」主軸の時代から、ワイン本来の味を追求しようという「手段」を意識する方向へ舵がきられました。
除草剤の代わりに耕起をし、化学農薬の代わりに自然農薬をつかう。
そうする事で土の微生物環境が整い、葡萄の周りに野生酵母が戻ってくる。
収穫量は減るが健全な葡萄が再び採れるようになったのです。
ちゃんと自然が宿っている葡萄を丁寧に収穫して、じっくり時間をかけて葡萄をワインに仕上げていきます。
醸造の流れを簡単に説明すると
白ワイン・・・収穫・選果→除枝・破砕→圧搾→発酵・熟成
オレンジ・・・収穫・選果→醸し・スキンコンタクト(+発酵)→圧搾→発酵・熟成
赤・ロゼ・・・収穫・選果→除枝・破砕→醸し→圧搾→発酵・熟成
除枝や醸しや圧搾方法は生産者によって様々です。
ここも風土や葡萄の状況によって変化させています。
最近の人気のオレンジワインでは、アルコール発酵中に果皮や種子をつけ込む「醸し」や
プレス前(発酵前)に果皮を果汁につけ込む「スキンコンタクト」が行われます。
こうした製法、特に白ブドウを果皮ごと発酵させるスタイルは、現代では「オレンジワイン」として認知されています。
その復興の震源地と言われるのが、イタリア北東部フリウリ地方です。 中でも、グラヴネル(Josko Gravner)とラディコン(Stanko Radikon)というご近所どうしの二人の造り手が、1990年代からワイン発祥の地「ジョージア」の伝統的な製法に学びながら、添加物に頼らず果皮と種ごと発酵させるワイン造りに挑戦しました。
白ワインなのに、赤ワインのような渋み(タンニン)や奥行きを感じる。 ほんのりビターで、ドライフルーツのようなニュアンスやスパイス香、時にはお茶や出汁のような余韻が広がる。 それまでの「白=軽やかで冷たく飲むもの」というイメージを覆すような、新しいワインの表現がここにあります。
この二人の探究心と哲学が、現在世界中で注目を集めるオレンジワインというスタイルの起点となり、多くの造り手たちが“自然と共に生きるワイン造り”へと舵を切るきっかけとなったのです。
「ブランド」でも「品種」でもない、土地と時間の深みを味わう感覚。
それこそが、今ナチュラルワインが愛される理由なのかもしれません。
ではでは。

コメント